スピーキング セクションは、カナダ移民向けフランス語テストで合否を左右することがよくあります。TEF Canada と TCF Canada のいずれを選ぶかは、あなたの話し方の得意分野や移民手続きのスケジュールに大きく影響します。自然な会話が得意か、構成された発表のほうが落ち着くかを踏まえて選びましょう。このガイドでは、各試験の特徴を比較し、スピーキング強化のための実践的な練習法を示します。自分のプロファイルに合う試験と、スピーキング対策の明確なロードマップがわかります。
2つの公式フランス語試験を理解する
TEF Canada(Test d’Évaluation de Français)
TEF Canada はパリの商工会議所 CCI Paris Île-de-France が実施する試験です。カナダ移民局 IRCC によって 2002 年以来公式に認められており、カナダ移民用のフランス語能力試験として歴史があります。
試験全体の構成:
- リスニング(Compréhension orale): 40 分、60 問
- リーディング(Compréhension écrite): 60 分、50 問
- スピーキング(Expression orale): 15 分、2 課題
- ライティング(Expression écrite): 60 分、2 課題
TEF Canada のスピーキングは、形式が整った場面での受験者を想定しています。課題の指示が明確で、回答前に考える時間が与えられる点が特徴です。
典型的な TEF 受験者像:
- かしこまったフランス語表現に慣れている
- 構造化された条件下で力を発揮する
- 各課題の指示に沿って話すのを好む
- 学術的または職業的な場面での表現が得意
TCF Canada(Test de Connaissance du Français)
TCF Canada は France Éducation International(旧 CIEP)が実施する試験で、フランス教育省の権限のもと運営されています。IRCC は TCF Canada を TEF Canada と同等に認めています。
試験全体の構成:
- リスニング(Compréhension orale): 35 分、39 問
- リーディング(Compréhension écrite): 60 分、39 問
- スピーキング(Expression orale): 12 分、3 課題
- ライティング(Expression écrite): 60 分、3 課題
TCF Canada のスピーキングは、会話的で即興性の高いやりとりに向いています。自然な会話で素早く適応できる受験者に適した形式です。
典型的な TCF 受験者像:
- 会話的フランス語が得意
- 即座の反応や適応力が高い
- 対話的なシナリオで力を発揮する
- ダイアログ形式を好む
スピーキングセクション比較: TEF と TCF
フォーマットの比較
TEF Canada スピーキング:
- 所要時間: 15 分
- 課題数: 2
- 問題の種類: ロールプレイ、意見を述べるモノローグ
- 時間配分: 各回答の前に準備時間がある形式
TCF Canada スピーキング:
- 所要時間: 12 分
- 課題数: 3 段階のタスク
- 問題の種類: 個人質問、写真描写、問題解決のディスカッション
- 時間配分: 即時応答が求められる場面が多い形式
課題のタイプ
TEF のスピーキング課題:
- ロールプレイ(Jeu de rôle): 与えられた状況で役割を演じる。たとえばクレーム対応や交渉など
- 意見表明(Sujet d’opinion): 社会的・文化的・職業的なテーマについて 2〜3 分で自分の見解を述べる
TCF のスピーキング課題:
- 自己紹介的質問: 自分の背景や興味について答える
- 写真描写: 画像を観察して描写し、状況を推測する
- 問題解決のディスカッション: 仮定の状況に対して解決策を提案し、理由を述べる
対話のレベル
TEF Canada はよりスクリプト寄りの進行です。試験官は主に聞き手に回り、受験者がまとまった回答を提示する形式が中心です。
TCF Canada は即興的なやりとりを重視します。試験官がフォローアップ質問を行い、自然な対話が発生しやすい形式です。
難易度の印象
受験者の声を総合すると:
TEF Canada は予測可能性が高い反面、フォーマルで洗練された表現が求められるため、構成力と正確さが重要です。
TCF Canada は会話的であるため即興力が試され、流暢さと柔軟な対応力が鍵になります。
評価基準
両試験ともコアとなる項目を評価しますが、重点の置き方が異なります。
TEF の重視点:
- 流暢さと一貫性(Fluency and Coherence): 筋道立てた論理的な展開(35%)
- 語彙(Lexical Resource): 語彙の幅と正確さ(25%)
- 文法の正確さ(Grammatical Accuracy): 正しい構文使用(25%)
- 発音(Pronunciation): 明瞭さとイントネーション(15%)
TCF の重視点:
- 対話的コミュニケーション(Interactive Communication): 自然な会話力(30%)
- 流暢さ(Fluency): 発話のスピードとリズム(25%)
- 一貫性と内容(Coherence and Content): 論理性と関連性(25%)
- 言語の正確さ(Language Accuracy): 文法と語彙の精度(20%)
主な違いの概要(TEF と TCF のスピーキング)
どちらの試験があなたのスピーキング特性に合うか
強みに基づく選択
TEF Canada を選ぶべき状況:
- 形式的なプレゼンや構成された発表が得意なとき
- 回答前に考える時間がある方が安心できるとき
- 学術的や職場での表現に自信があるとき
- モノローグ形式で力を発揮し、割り込みが苦手なとき
TCF Canada を選ぶべき状況:
- 会話的な状況で自然に話せるとき
- 即座に考えて答えるのが得意なとき
- 相手とのやりとりの中で力を発揮するタイプのとき
- 短い多様なタスクを好み、対話でのやり取りを得意とする場合
快適さの自己評価
日常的にさまざまなアクセントや即時対応に慣れているなら TCF が向くかもしれません。逆に、準備時間がある方が実力を出しやすいなら TEF を検討してください。時間プレッシャーに対する耐性も重要です。
実務的な考慮事項
- TCF Canada は実施会場が多い場合があり、スケジュールが取りやすい地域があります。
- 受験料は似た水準ですが、地域差があります。受験予定の会場での提供頻度を確認してください。
TEF Canada スピーキング: スコアと CLB 変換
スピーキングのスコアレンジ
TEF Canada のスピーキングは 0 から 450 点 の範囲で評価され、目安レベルは次の通りです:
- 0-135: 基礎未満
- 136-180: 基礎レベル
- 181-225: 自立した運用能力
- 226-270: 上級に近い運用能力
- 271-315: 優れた運用能力
- 316-450: エキスパートレベル
IRCC の TEF Canada から CLB への換算表
最低スピーキングスコア
Express Entry 連邦プログラムの例:
- CLB 7(316 点以上): Canadian Experience Class や Federal Skilled Worker Program で必要となることが多い
- CLB 5(226 点以上): Federal Skilled Trades Program の最低基準などに該当する場合あり
州指名プログラム: 省やストリームによって要件が異なります。多くのケースで CLB 4-7 の範囲で要求されます。
TCF Canada スピーキング: スコアと CLB 変換
スピーキングのスコアレンジ
TCF Canada のスピーキングは 0 から 20 点 の範囲で評価され、目安レベルは次の通りです:
- 0-5: 基礎未満
- 6-9: 基礎レベル
- 10-13: 自立した運用能力
- 14-16: 上級に近い運用能力
- 17-18: 優れた運用能力
- 19-20: エキスパートレベル
IRCC の TCF Canada から CLB への換算表
最低スピーキングスコア
TCF Canada の CLB 要件は TEF と同様です:
Express Entry 連邦プログラムの例:
- CLB 7(14 点以上): CEC や FSWP に必要な目安
- CLB 5(10 点以上): FSTP の最低基準など
スピーキング対策の方法
課題形式を把握することが効果的な準備の第一歩です。TEF はロールプレイと意見表明が中心で、構成された回答の練習が重要です。TCF は個人的な質問、写真描写、問題解決の対話が中心で、即興性と対話力の訓練が必要です。
- 重要語彙と表現パターンを身につける: 「À mon avis(私の意見では)」や接続表現「En revanche(その一方で)」などを練習しましょう。
- TEF 向けには「導入 - 主張 - 結論」の構成を意識すること。
- TCF 向けには短く直接的な返答と、試験官の追問に対応する練習を繰り返すこと。
公式教材や模試を活用して総合的に練習してください。TEF の公式資料は CCI Paris、TCF の公式資料は France Éducation International が提供しています。AI を使った発話練習ツールも役立ちます。たとえば Kippy は AI によるスピーキング練習とリアルタイムフィードバックを提供し、自信をつけるのに適しています。
よくある質問
登録後に TEF Canada から TCF Canada に切り替えできますか?
いいえ。一度特定の試験に登録して受験料を支払うと、別の試験へ直接切り替えることはできません。センターのキャンセル再予約ポリシーにより、受験料の一部または全部を失う可能性があります。予約前に決めておくことをおすすめします。
TEF Canada と TCF Canada のスピーキング結果はどれくらいで届きますか?
TEF Canada の結果は通常 4〜6 週間で届くことが多く、TCF Canada の結果は 2〜4 週間で届くことが多いです。実際の処理時間は試験会場によって異なるため、受験予定のセンターに確認してください。
TEF Canada と TCF Canada のスピーキングスコアは永久に有効ですか?
いいえ。どちらのスコアも移民用途では試験日から 2 年間有効です。期限切れの場合やスコアを更新したい場合は再受験が必要です。